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てぃーだブログ › 又吉内科クリニック BLOG

うないに憧れて

 「1ページ、1回の広告掲載でこの金額になります」
「えっ、お金が必要なのですか?」
12年前、私が開業して間もない頃の『うない』担当者との会話です。医療情報の発信を積極的に考えていた私は『うない』に医療コラムの掲載ができないか問い合わせたのです。担当者がクリニックに説明に来てくれたのですが、よく考えればどこの誰だか分からない人の原稿を簡単に載せてくれるはずなどありません。広告掲載の依頼だと思われるのは当たり前のことで、自らの無知さに気付かされました。当時は広告掲載の余裕はなくあきらめました。
 それから4年後、診療中に1本の電話が入りました。
「はじめまして、新たに『うない』の編集長に就任した石田と申します。先生にコラムの連載をお願いしたいのですが、ご検討をお願いできないでしょうか?」
「えっ!えっ!本当ですか?もちろんやります!」
 ・・・まるで夢でも見ているようで、全身に鳥肌が立ったのを今でも覚えています。以前から「うない」に載るのが私の夢であり、憧れだったので天にも昇る気持ちでした。
 あれから8年半。お陰様で「Dr.又吉のユンタク半分医者半分」を今回まで続けることができました。原稿の締め切りに遅れてご迷惑をお掛けしたこともありましたが、編集長の石田奈月様およびスタッフの皆様には大変お世話になりました。そして何よりも読者の皆様には多くのご支援をいただき、心より感謝申し上げます。
 『うない』が終わるなんて本当に寂しいですね。私も「うないロス」がしばらく続きそうです。では、またどこかで。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2020.7-8 掲載)




2020年07月23日 11:45
Posted by matayoshi
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手指外傷

 今から27年前、私が医者になってまだ新米の頃、橋のかかる前の古宇利島の診療所で2年間勤務しました。島の産業は半農半漁。農業の主はサトウキビと紅芋です。例年1月〜3月は外傷の患者さんが多くなります。サトウキビの収穫で、鎌による手指の外傷が増えるのです。
 2月のある日の夕方。オバアが血で染まったタオルで左手をぐるぐる巻きにして、診療所を受診しました。
「先生ごめんねー。鎌で手をやってしまったサー。診てもらえるかネー?」
 小さな島では医者は私一人。内科医でも外傷も診ないといけません。診療所のベットにオバアを寝かせ、無影灯を点けて傷口の洗浄から始めます。傷は鋭利に開いて深いのですが、幸いにも動脈など大きな血管の障害はなさそうです。しかし、詳しく診てみると腱(筋肉が骨に付着するところ)が切れているのが分かりました。
「おばあちゃん、左手の親指を動かしてみて」
 するとオバアは「こんなネー」と動かそうとしますが、親指は外側には動きません。腱断裂です。腱を縫うのは整形外科での手術が必要となります。そのことをオバアに説明し、県立北部病院での手術を勧めましたが、オバアは「年だから、先生もういいよ。親指は動かなくてもいいから、皮膚だけ縫ってー」と受け入れてくれません。手術を受けないと親指の動きが治らないこと、数日中であれば手術が受けられることを説明しましたが、結局納得させることはできませんでした。
 数カ月後、診療所にひょっこりオバアが現れました。
「先生、傷はこんなにきれいになったヨー。親指はちゃんと動かないけど私のせいだから、二人の秘密にしておこうネ。あの後3日間、毎日説得しに家まで来てくれてありがとうねー」と両眼でウインクされました。
 医者の「患者のため」が最善の医療とは限らないということを、あの時オバアから教わりました。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2020. 5-6掲載)


2020年05月20日 20:01
Posted by matayoshi
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痛風

 ある勉強会の二次会での話です。経営者男性10名が参加しており、年齢は50〜70歳といったところ。医者は私1人でした。ビールを飲みながら隣のAさんといろいろ話をしていると、痛風の質問をされました。
 Aさんは1週間前、突然右足の親指の付け根に激痛が走り、赤く腫れ上がって歩けない状態になったそうです。病院を受診すると医者からは「痛風」と言われ、消炎鎮痛剤を処方されて禁酒を指示されたとのこと。
「まだ痛みはあるけれど、昨日からどうにか足を引きずらずに歩けるようになって、今日の会に参加した」と言います。なるほど、持っているグラスを見るとウーロン茶、足元を見るとサンダル履き!
 痛風の治療や食事療法などを質問されて答えていると、周りの人もその会話にどんどん入ってきました。
「私もある」
「俺も何度かやったことあるサー」
「あれ、痛いよネー」
 しばらくすると、会全体が「痛風」の質問タイムとなっていました。私以外の9人中5人が痛風発作の経験があるとのことにはびっくりです。お酒を飲む機会の多い沖縄では、日常診療でも痛風の患者さんは多い印象です。
 最後に「風が吹いても痛いから痛風と言われます」と説明すると、サンダル履きのAさんは「無風の室内でも超痛いです!」。

<痛風>
 血液中の尿酸が過剰になり、尿酸の結晶が関節にたまって、強い炎症と激しい痛みの発作が起きる病気です。その98%が男性で、ホルモンの関係で女性には少ない病気です。痛風発作はその90%が足に起こります。飽食、特に肉類・アルコール類の大量摂取は尿酸値が上昇する原因となります。高尿酸血症が進行すると腎機能障害や動脈硬化の原因にもなります。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2020. 3 - 4 掲載)


2020年03月21日 21:03
Posted by matayoshi
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カチューユー

 ある日の診察室での会話。
おばあ:「先生、風邪ひいてムヌカマラン(食欲がない)サー」
私:「朝は何食べて来たの?」
おばあ:「カチューユー ビケー(だけ)ヨー」
私のクリニックではよくある患者さんとの会話です。
 「カチューユー」とは、「かちゅー湯」とか「ヤカン汁」とかいう名前でも呼ばれる沖縄の家庭料理です。風邪などで体調が悪い時や二日酔いの時などの食欲がない時に、昔から沖縄に伝わる究極のインスタントみそ汁です。
【作り方】
①大きめの茶わんに1/3くらいの量のかつお節を入れる(花がつおがオススメ)。
②スプーン1杯のみそを入れる。
③あつあつの熱湯を茶わんいっぱい注ぐ。
④しばらく待ってみそを溶かせばもう完成!
なんと1分で作れる超時短レシピなんです。
「さて、いただきます」。まず立ち上る湯気の中から、ぜいたくに使った花がつおの香ばしさが鼻を刺激します。スープを一口すすると、かつお節のうまみがあっさりとしながらもだんだん口の中に広がり、身体の内側にしみてきます。「んー、ほっこり。」私の胃腸はこれを欲していたんだって感じです。
 衝撃的なまでに簡単なのに、みそやかつお節にはアミノ酸やミネラルがバランスよく入っており、疲れた時や弱った時に飲むと身体を回復させ、元気になるのです。
 お好みの具を入れて作る家庭もあるようです。梅干しとゴマ、ナメタケと大根おろし、とろろ昆布とネギ、ニンニクと生卵、などがその一例。どれも想像するだけでおいしそうです。今晩はカチューユー飲んで、明日も診療頑張ろうっと!

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2020. 1 - 2 掲載)


2020年01月17日 20:45
Posted by matayoshi
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うんこマーク

 絵とかマンガでよく見る「うんこマーク」。あのトルネード状のマークを見たら、誰でも「あっ、うんこだ」と言うと思います。これって、世界共通のマークかと思いきや、実は日本独特のものなのです。実際に日本に来た外国人観光客に、うんこマークを見せて「これ何?」と聞くと外国人の多くは「アイスクリーム」と答えるそうです。
 日本で「うんこマーク」が登場したのは1971年、とりかずよし氏が描いた「トイレット博士」が始まりだといわれています。1980年から鳥山明氏が発表した「Dr. スランプ」では、とぐろを巻いたうんこに顔を描いて手足をつけた「うんちくん」というキャラクターが登場します。うんこマークはこれにより多く知られ、広まったのではないかといわれています。
 皆さんは、とぐろを巻いた便をしたことはありますか?現在のトイレはどのご家庭も洋式がほとんどで、排便後は水の溜まった排出部分に流れていくので、便がそのような形を作ることは物理的に難しいと思います。ひと昔前の和式便器では、平坦なところに便がたまるので、そのような造形となる可能性があるのではないでしょうか。さらに考えると、野原で排便すると着地距離が短いので、一層その可能性は高くなると思われます。
 うんこがトルネード状になるためには、その他にも厳しい条件が必要となりそうです。まず、食物繊維を多く摂った後のバナナ状の長い便であることが必要です。その硬さは、硬過ぎず柔らか過ぎず。絶妙な水分加減が必要となりそうです。便は直腸を通って肛門から排泄されます。ここからは私の持論ですが、直腸は解剖学的に軽度のらせん状の構造をしていますので、それも便がらせん状になる可能性の一つかも知れません。
 世界的な便の性状分類に「ブリストルスケール」というものがあります。その中で正常便とは、表面がなめらかで柔らかいソーセージ状、あるいは蛇のようなとぐろを巻く便とされています。あなたの便はどうですか?

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2019. 11- 12 掲載)


2019年11月17日 20:16
Posted by matayoshi
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感染性胃腸炎

 感染性胃腸炎とは、ウイルスや細菌による感染が原因となって急性の消化器症状を起こす病気です。患者さんは一年中見られますが、一般的に秋から冬に流行することが多いです。原因はウイルス感染が多く、ノロウイルス、アデノウイルス、ロタウイルスなどがあります。
 乳児から高齢者まで広く感染しますが、一般的には症状は軽く、数日で回復に向かいます。しかし、免疫力が低下している人や、慢性疾患を持っている人、高齢者、乳幼児や小児では脱水症状を起こし、重症化することがあるので注意が必要です。
 感染経路は①ウイルスが付いた手から口に入る場合と②汚染された食品を食べることで起こる場合があり、感染して1〜2日程の潜伏期を経て発症します。症状は「吐き気」「嘔吐」「下痢」「腹痛」「発熱」が多いですが、中には「悪寒」「筋肉痛」「頭痛」を伴うこともあります。
 感染性腸炎には特効薬はなく、対症療法のみというのが現状です。一般的に下痢止めはウイルスを体内に留めることになるので使用しません。水分摂取を心がけて安静にしますが、症状が強い場合は医療機関の受診をすすめます。
 接触性感染で家族や周りの人に感染を広げる危険性があるため、流水とせっけんによる手洗いを徹底する必要があり、同一のタオルを使わないなどの対策が必要です。患者の吐いたものや排せつ物には多くのウイルスが含まれるため、その処理には手袋やマスク、エプロンなどを使用し、直接触れないようにする必要があります。トイレに流す時は、便器のふたを閉めて水が飛び散らないようにします。床や壁が汚染された時は、それを取り除き塩素系漂白剤などで消毒します。作業をした後は手袋をはずして、必ず手洗いをしてください。
 症状が回復した後も、患者の排せつ物の中には1ヶ月近くウイルスが残っているという報告があります。排便後の適切な手洗いが大切であり、トイレを流す時は便器のふたを閉めて汚物が飛散しないようにする必要があります。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2019. 9 -10 掲載)


2019年09月15日 19:45
Posted by matayoshi
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便秘について

 皆さん「便秘」の定義を知っていますか?最新の定義は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」とあります。すっきりとした排便でなければ、毎日便があっても「便秘」ということになるのです。
 便秘で悩む人は、60歳未満までは圧倒的に女性に多く見られますが、80歳を過ぎると逆に男性の方が多くなります。日本人女性の半数以上に便秘があると言われますが、男性に比べて女性が便秘になりやすい理由はいくつかあります。
 女性は腹筋が弱いため、便を送り出す力が弱いこと。女性ホルモンのひとつ「黄体ホルモン」が、からだに水分や塩分を溜めこむ指示を出すために、大腸の壁から水分が吸収されて便が硬くなること。このホルモンには腸の動きを抑える働きもあるため、特に生理前や妊娠初期には便秘になりやすいと考えられます。
 便秘改善に関しては、食生活がまず大切です。食物繊維を多く摂り入れ、栄養バランスを考え、1日3食を規則正しく摂り、水分もしっかり摂ります。排便の習慣もとても大切です。食後は意識してトイレに行き、便意を感じた時は迷わずトイレに行くようにします。特に朝食後は、必ずトイレに座る時間を作ります。
 最近は排便姿勢にも注目が集まっています。和式トイレでしゃがんだ姿勢が理想的な体位といわれます。直腸の形がまっすぐになり、排便が得られやすい状態になるからです。洋式トイレの場合では、横から見た時に背骨と太ももの角度が約35度になるように、やや前かがみになるのがポイントです。小柄な人は踏み台を使うと良いでしょう。
 便秘を病気だと思っている人は少ないようです。恥ずかしいと独りで悩んでいる人も多いのではないでしょうか。中には大腸がんなどの病気が原因のこともありますので、自己判断せずに一度は専門医に相談することをお勧めします。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2019. 7 - 8 掲載)


2019年07月15日 18:30
Posted by matayoshi
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緊急内視鏡

 私の専門は消化器内科であり、胃カメラや大腸カメラを用いた内視鏡検査や内視鏡治療を専門的に行っています。内視鏡治療というのは、カメラを用いてポリープなどを切除したり、消化管出血などで出血を止めたりする処置のこと。救急病院勤務の時は、日中の診療時間内はもちろんのこと、夜間にも内視鏡検査が必要な場合は当番の医者がオンコール※で呼び出されます。
 救急病院では吐血や下血といった消化管出血の患者が多くいて、出血をきたしている病変の診断と止血処置のために緊急内視鏡検査が必要になります。消化管出血で一番多いのは、胃潰瘍と十二指腸潰瘍からの出血です。消化性潰瘍は再発が多いため、一度治療しても再出血にて救急を受診する患者がとても多い病気でした。
 私が救急病院勤務をしていた約20年前のこと。内視鏡検査オンコールの夜、救急外来に3人の吐血の患者受診があり、3回呼び出されたことがあります。3回とも緊急内視鏡を行いましたが、最後の検査が終わった時には空は白々と明け始めていました。医局で仮眠をとり、重い足取りで午前の外来診療に向かったのを覚えています。
 近年は消化性潰瘍の多くがピロリ菌感染によって起こることが分かり、その治療が広まったことも功を奏して、消化性潰瘍からの出血は減ってきています。その半面、鎮痛剤や抗血小板剤といった薬を内服している患者が増え、その副作用で消化管出血を起こす高齢者が増えてきています。医学の発展とともに、病気の種類や頻度が変化していくこともあるのです。
 「吐血です」と呼び出されて救急外来に行ってみると、鼻血だったり歯肉からの出血だったりすることもありました。患者さんには「重症でなくてよかったですね」と笑顔で言えましたが・・・。

※患者の急変時や救急搬送時に備え、専門の医療従事者が勤務時間外も対応で  
 きるように待機していること。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2019. 5 - 6 掲載)



2019年05月23日 20:45
Posted by matayoshi
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大腸がん撲滅を目指して

 乳がんの啓発運動である「ピンクリボン運動」は知っていても「ブルーリボンキャンペーン」を知っている人は少ないと思います。これは大腸がん疾患の啓発運動のこと。その診断方法、治療法に関して広く知っていただき、大腸がんの発症予防、死亡率の減少につなげることを目的としています。
 先日、厚労省から2016年に診断されたがんのデータが発表しました。男女合計の部位別のがん患者数では、大腸が最も多く15万8千人、次いで胃13万5千人、肺12万5千人、乳房9万6千人、前立腺9万人でした。男性は胃が最多で前立腺、大腸、肺、肝臓の順。女性は乳房が最多で、大腸、胃、肺、子宮の順でした。
 日本国内はもとより海外でも今、大腸がんが増加の一途をたどっています。大腸がんはおとなしいがんで、早めに診断するとそのほとんどを治すことができます。
 大腸がん検診は、2日間の便をスティック状のキットで上からなぞって提出するだけの簡単な検査です。毎年受けていると診断効果が上がります。1日でも陽性が出たら、大腸内視鏡検査による2次検査をぜひ受けましょう。
 アメリカでは、増え続ける大腸がんの死亡率を減らすために、大腸内視鏡検査を10年に1回無料で受けられる制度を導入しています。その効果は絶大で、大腸がん死亡率をピーク時より50%減少させることに成功しています。内視鏡で早期に大腸がんを発見して治療に導いたり、大腸ポリープを発見して切除したりすることで、大腸がんの発症率および死亡率を減少させることができたのです。
 40歳を超えたら大腸がん検診を毎年受け、異常がなくても3年ごとに大腸内視鏡検査を受けていただけば、将来大腸がんになる可能性はほとんどなくなります。さあ、あなたとあなたの大切な人を大腸がんから守りましょう。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2019. 3 - 4 掲載)



2019年03月24日 21:25
Posted by matayoshi
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年をとると1年が早くなる?

 昨年末、診察室で私とおばあちゃんとの会話です。
私:「○○さん、次の外来は来年の1月になりますネ」
おばあちゃん:「あっさヨー、早いネー。また正月が来るネー
        年を取ると1年経つのが早くなって大変サー」
 外来で患者さんからよく聞く言葉です。なぜヒトは年を取ると1年が早く過ぎるように感じるのでしょうか?確かに子供の頃や若い頃に過ごした時間はもっと長かったように思います。
 しかし、これは今過ごしている時間の体感速度ではなく、過去を振り返った時に感じる時間の長さの印象だという説があります。時間の長さの感じ方の差は、脳が経験した過去の情報を後で振り返った時に、どれくらいに感じられるかという感覚の違いとして表れます。新しい経験を多くする若い頃は時間が長く感じられますが、年を取ってくると経験が豊富になり、新しい感動が少なく単調になることで、時間が短く感じられるようになるということです。
 ひとつ例を挙げると、旅行をする時は、目的地に着くまでの行きの時間は長く感じられ、帰りは短く感じられることが多いものです。行きは初めての道でもあり新しい感動が多く、また目的地への期待もあるため時間が長く感じられるのでしょう。一方、帰路は自宅に帰るという安堵感が強いことと、旅の疲れもあり新しい感動を経験することが少ないために、後で振り返ると時間が短く感じられるものと思われます。
 どんなに年齢を重ねても、常に新しいことに挑戦したり、ドキドキワクワクするような新しい刺激を取り入れたりすれば、充実した時を過ごすことができ、時間の経つのも遅くすることができそうですネ。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2019. 1- 2 掲載)


2019年01月25日 20:30
Posted by matayoshi
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左手の薬指は愛の証

 左手の薬指につけることが多い結婚指輪。ワイドショーやスポーツ新聞では、噂になったカップルの左手の薬指に指輪が光っていたなどといって、指の部分だけをアップで撮ったりします。婚約会見でも、左手の甲を立ててカメラに向けてかざす光景がおなじみになっています。
 なぜ左手の薬指が愛の証である指輪の位置になったのかというと、その歴史は大変古いものです。紀元前のギリシャでは、愛をつかさどる血管が左手の薬指を流れており、心臓に直結しているとされていました。当時は心臓に感情の中心があると考えられていて、心臓をかたどったハート型が愛を表現したのです。
 結婚式の時に新郎新婦が指輪を交換するのは、夫婦として歩んで行く誓いを形に表すことです。丸い結婚指輪は「永遠に途切れることのない愛情」を象徴するものとされています。また、指輪を常に身につけることで相手の存在を強く感じることができる意味合いもあります。
 夫婦の絆を深め、永遠の愛に祈りが込められている結婚指輪。1614年にはローマ教会が指輪交換を正式な結婚の儀式と定めたことにより、結婚指輪を左手の薬指につけることがより一般的になっていったようです。ところが、世界は広いもので例外もあるようです。
 ヨーロッパの一部では右手の薬指につける国と地域があります。その国の風土や宗教によって、右手の薬指は「正義」という意味を持つため、この指につけるそうです。また、インドやアジアの一部には、両足の薬指に結婚指輪をつける国もあるのだとか。普段から靴を履く習慣のない、気温が高い国ならではの習慣ですね。運命の赤い糸も足の指につながっているのかな?

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2018. 11-12 掲載)


2018年11月23日 19:15
Posted by matayoshi
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聴診器の起源

 内科の診察の時、医師は聴診器を患者さんの胸や背中にあてて耳を傾けます。この聴診器を世界で初めて考案したのは、19世紀のフランスのラエネック医師です。
 ラエネックは1816年、心臓病を患っているうら若い女性の診察をしていて、はたと困りました。当時、医師は患者の胸に直接耳をあてて心臓の鼓動を聴いたのですが、ラエネックはどうしても彼女の豊かな胸に自分の耳をつけることに抵抗があったのです。
 ラエネックは、どうしたものかと考えながら、いったん外へ出て散歩しているうち、ルーブルの中庭に入り込みました。そこでは子供たちが、彼も子どもの頃によくやった遊びをしていました。ひとりが長い木の棒の端に耳をあて、もうひとりが反対側の端をピンで引っ掻いて、暗号を伝えるとうい遊びです。
 「これだ!」ひらめいたラエネックはすぐさま病院に戻り、紙を丸めて筒状にすると、片方の端を女性患者の胸に、もう一方の端に自分の耳をあてました。すると、直接胸に耳をあてるよりも心臓の音がよく聞こえたのです。これが聴診器の原型となりました。その後、正確な聴診が行えるように試行錯誤を繰り返し、木製の筒状の棒のような形をした世界初の聴診器を発明したのです。
 その後、彼は聴診による診察診断方法を提案し、当時は不治の病とされていた結核の研究を始めます。しかし、皮肉なもので彼は自分で発明した聴診器で自身が重い肺結核に冒されていることを知り、45歳でこの世を去ったのです。
 女性への診察の配慮から生まれた聴診器。ラエネックの功績がなければ、聴診器はこの世に存在しなかった・・・というのは言い過ぎかも知れませんが、その登場はもっと遅れていたでしょう。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2018. 9-10 掲載)



2018年09月15日 20:10
Posted by matayoshi
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沖縄の苗字

 このコラムもおかげさまで、39回を迎えました。まことにサンキューです。今回は「ユンタク半分」ならぬ「ユンタク全部」のお話を一席。沖縄の苗字にまつわる笑い話です。
 ある日のこと、旅行で本土に来ていた沖縄出身者5名がドライブ中に検問に引っかかりました。
警察官「名前は?」
運転手「ウンテン(運天)です」
警察官「ふざけるなよ。助手席の女性の名前は?」
助手席女「オンナ(恩納)です」
警察官「お前ら名前言わないつもりか。後ろに乗っている三人の名前は?」
後部座席三人「ナカマ(仲間)です」「ナカマ(名嘉真)です」「ナカヨシ(仲 
       吉)です」
 みなさんは本土に行った時などに、苗字のことでストレスを感じたことはありませんか?沖縄の苗字は独特なものが多く、ウチナーンチュが本土に行くとけっこう面倒くさいことが多いものです。例えば、「お名前をお願いします」と聞かれて「キャンです」と答えると「・・・はい?」と必ず間ができて聞き返されるでしょう(沖縄中の喜屋武さんすみません。ほんの一例です)。
 私は本土で大学生活を過ごしましが、本土では又吉という苗字も珍しがられました。今では、直木賞作家で芸人の又吉直樹さんや中日ドラゴンズの又吉克樹投手といった有名人が出てきたこともあり、全国的に認知されるようになってきましたが、当時は間違えて読まれることも多かったです。
 テニスの試合に出場時し、試合開始でサービスをする私の名前がコールされた時のこと。
「ザ・ベストオブ3セットマッチ、マタキチ サービングプレイ!」
 気合が抜けてしまったのは言うまでもありません。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2018. 7-8 掲載)


2018年07月23日 20:25
Posted by matayoshi
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スマホと睡眠障害

 先進国の中で睡眠時間が最も少ないのは、日本人といわれています。IT機器などの普及によって、日常生活が便利になればなるほど起きている時間が長くなり、睡眠時間が短くなってしまうという方も多いのではないでしょうか。
 スマートフォン(スマホ)やLED照明には、「ブルーライト」という青色光が入っています。ブルーライトは目に見える光の中で最も波長が短く、エネルギーが強いといわれます。拡散して目が疲れやすいため、眼科医が注目し、眼精疲労や網膜の黄斑変性の可能性などを指摘していましたが、最近は体内時計への影響が注目されています。
 空が青いのは、まさにブルーライトが散乱して見えるからですが、スマホの普及によって夜にブルーライトを浴びる機会が増えてきています。そのために眠れないヒトが増えている可能性があるのです。
 ブルーライトは睡眠にどれくらい影響するのでしょうか。20代の女性を対象に、ブルーライトを約50%カットするメガネをかけた場合と素通しのメガネをかけた場合で、平日の就寝1時間前にスマホを見てもらって比較した実験があります。結果は、2日目と3日目までは差がなく、4日目以降になると素通しのメガネでは総睡眠時間が減り、目覚めないで寝ている最長睡眠時間も短くなりました。さらに、昼間の元気度を調べたところ、素通しのメガネでは午前中の活動度が低いことがわかりました。寝る前にブルーライトが目に入ると途中で目覚めて、長時間は寝られず、午前中も元気がない。つまり、体内時計の睡眠と覚醒のリズムが乱れているわけです。
夜にスマホを見ているのは、若いヒトたちが多いようです。就寝前はできるだけブルーライトを見ないようにするなど、節度をもった使い方や工夫が必要です。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2018. 5-6 掲載)


2018年06月23日 20:02
Posted by matayoshi
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江戸時代の医者

 時代劇などで、家族の容態が悪くなり、慌てて町医者を呼びに行くシーンを見たことはありませんか?江戸時代、医者の診察は往診が中心だったようです。
 さあ、江戸時代にタイムスリップしてみましょう! 江戸時代の医者を大別すると、朝廷や幕府に仕える「御典医」と、藩に仕える「藩医」、そして一般の人を対象とする「町医者」に分けられていました。さらに町医者は大きく2つに分かれ、薬箱を持たせたお供を連れて歩く「徒歩(かち)医者」と、より格式があり駕籠(かご)に乗り移動する「乗物医者」がいたようです。
 現代では、医者になるためには医学部を卒業し、医師国家試験に合格する必要がありますが、江戸時代にはそのような資格制度はありませんでした。なんと、医者になろうと思えば誰でもなれたのです。そのため、いわゆる「やぶ医者」も多く、さらに「やぶ」にもなれない「たけのこ医者」までいたんだとか。
 ちなみに江戸時代の診察料はどれくらいだったのでしょう?一般の人であってもお金さえあれば、幕府御用達の御典医に診てもらうことは可能でした。しかし、その診察料はありえないほど高額で、4両(現在の金額で50万円以上)もの大金が必要だったそうです。町医者になるとある程度は安くなりますが、それでも往診と3日分程度の薬代を合わせると、10万円前後になったようです。町医者といえども、一般庶民がそう簡単に診察を頼むということは出来なかったわけです。
 「医は仁術」という考えのもと、貧しい人からはお金を取らないという立派な医者もいたようですが、それはかなり少数派だったとか。私たちは、医療保険が整った現代に生まれてきて本当に恵まれていると言えますね。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2018. 3 - 4掲載)


2018年05月25日 19:30
Posted by matayoshi
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肉と魚の食べ頃

 肉や魚、どうせ食べるなら、いちばんおいしい状態で食べたいものです。肉や魚の種類によって一番おいしい時期が違うことを知っていますか?
 動物が死ぬと死後硬直(死体の筋肉のエネルギーが失われ硬くなること)が起こります。硬くなった筋肉細胞は、やがて分解して再び軟らかくなり、これを硬直解除といいます。
 魚の場合、「活け魚」は死後硬直を起こす前のものをいい、「鮮魚」は死後硬直初期のものをいいます。魚は一般的に死後硬直の頃がいちばんおいしいといわれます。死後硬直の起こる時間は、魚によっても違っていて、傷みやすいといわれるサバやアジなどは当然早いです。捕獲した魚を氷詰めにした場合、ハマチで4時間、マダラで6時間、マダイでは24時間ほど後に硬直のピークがあるようです。
 魚は死後硬直の頃がいちばんおいしいのはなぜでしょうか?筋肉の中にはATP(アデノシン三リン酸)という物質があり、死後硬直の時に急速に分解されます。その分解物が、うま味成分のひとつであるイノシン酸なのです。死後硬直の初期には一時的に、イノシン酸がたくさんたまるタイミングがあるため、この時の魚が、いちばんおいしいというわけです。
 牛や豚の肉はどうでしょう。食肉処理してから1〜2週間ほど、4℃くらいのところで肉の塊をぶら下げて熟成させる必要があります。肉も魚同様に死後硬直がありますが、肉は硬直が解けないと硬すぎるのです。硬直が解けるときに筋肉の一部が分解され、アミノ酸が増加します。これがうま味になります。
 映画「ロッキー」で、主人公が冷蔵保存室の中で、ぶら下げられた肉をサウンドバック代わりにトレーニングしているシーンがありましたね。あの肉もおいしく熟成したでしょうか・・・。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2018. 1-2掲載)



2018年04月20日 20:01
Posted by matayoshi
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加齢臭

 お父さんの服や下着を洗濯機に入れるとき、他の家族のものと分けて洗うのは今や多数派で、家によっては、箸でつまんで入れるという話しを聞いたことがあります。会社でも中年のおじさんは若い女子社員からニオイが嫌がられ、一定の距離をおいて接するという話しも耳にしたことがあります。
 このニオイこそ「加齢臭」です。中高年の胸や背中から出る、脂臭くて少しカビ臭いニオイ。「梅雨時の押し入れ」のようなニオイと表現する人もいます。
 もともと体臭とは、皮膚から汗や脂肪酸が出て、それをエサにする皮膚常在細菌が繁殖します。この細菌もシッコやウンチをし、それらが混ざり合って体臭となります。この体臭にはアルコール類、アルデヒド類などいろいろなニオイ成分が含まれますが、40代以降には不飽和アルデヒドの一種である「ノネナール」という物質が出てきます。この「ノネナール」こそが、カビ臭くて脂臭いニオイである「加齢臭」の原因なのです。
 一般的には、加齢臭はおじさんのニオイと思われているようですが、実は女性でも40代以降になると同じように「ノネナール」が分泌され、加齢臭があります。しかし、女性は化粧品や香水でニオイがマスクされたり、毎日服を変えたり、一日に2回もシャワーに入ったりするので、ニオイが染み付きにくいといわれます。一方男性のほうは、1シーズンで数着のスーツを着回している人が多いため、どうしても体臭がスーツに染み付いてしまうのです。
 そして、もう一つの問題は、自分のニオイは自分で気付きにくいということです。ヒトは、同じニオイを嗅いでいると、段々とそのニオイに慣れて感じにくくなるものです。私たちは、他人のニオイには敏感なのですが、自分のニオイには麻痺している状態なのです。
 世のお父さん!毎朝シャワーに入り、ノーネクタイで「かりゆしウェアー」にすれば、加齢臭からさよならできるかも知れません。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2017. 11-12掲載)


2018年03月19日 19:00
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キス病

 私が、医学部1年生の頃のことです。喉の痛み、咳、発熱が1週間ほど続き、大学病院の救急外来を受診することになりました。自分の大学の後輩が患者として受診するとなると、先輩の研修医たちがニコニコ集まってきて、診察の練習台にさせられます。
研修医A:「咳がひどかけん、気管支炎じゃなか?」(佐賀弁)
研修医B:「喉の炎症もあって熱も続いとる。リンパ節も小さく腫れとるけん、
      キス病じゃないと?」(佐賀弁)
私のことなどお構いなしに症例討論会が始まりました。高熱で頭がもうろうとしていましたが、「キス病」というこれまで聞いたことのない病名にだけは反応してしまいました。
私:「彼女いないので、キスはしたことありません!」
研修医A:「・・・」
研修医B:「キス病は、キスせんでもうつるとよ」(佐賀弁)
私:「えっ・・・」
結局、検査の結果は普通の風邪だったのですが、話がどう伝わったのか「沖縄出身の又吉くん、ファーストキスでキス病になったらしいヨ」とのうわさ話が大学中に広まってしまいました。

◆ キス病(伝染性単核球症)
EBウイルスによる感染症です。日本では3歳までに70%が感染し、20歳代では90%以上が抗体を持っています。小児期の感染ではほとんど症状が出ませんが、思春期以降に感染すると、その50%に症状が出ます。思春期以降の感染はキスでもうつることがあるのでキス病と言われますが、キス以外でもうつることがあります。潜伏期は6~8週で、発熱が1週間以上続き、全身倦怠感、リンパ節腫脹、肝機能異常などが見られます。しかし、ほとんどが数週間で自然に治る病気です。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2017. 9-10掲載)


2018年02月20日 20:15
Posted by matayoshi
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焼き魚定食

 みなさんは「三鷹光器」という会社をご存知でしょうか?東京都三鷹市の住宅地にポツンと建つ小さな町工場です。しかし、光学機器製品の分野では、世界水準の技術を持っており、「第3回ものづくり日本大賞内閣総理大臣賞」を受賞しています。とりわけ「脳神経外科手術用顕微鏡スタンド」は世界のトップシェアであり、世界の多くの脳外科医から「三鷹の製品じゃないとダメだ」と支持されているそうです。
 となると、なぜ小さな町工場にそのような優秀な人材が集まっているのかが気になります。実は、三鷹光器はその社風もユニーク。入社試験の一環として、社長と一緒に「焼き魚定食」を食べに行くそうです。「箸で魚の身をキレイに取れるか、手先の器用さを見ている」というのが理由だそうです。
 そういえば、焼き魚定食って沖縄の食堂ではほとんど見ないメニューですね。とあるリサーチ会社のアンケートで、焼き魚を食べないと答えた人が全国で一番多かったのは沖縄県だったそうです。四方を海に囲まれた沖縄なのに、なぜでしょう。わが家でも、本土産のサンマやホッケを焼き魚にすることはありますが、近海魚を焼くことはありません。「もしかしてイケるかも?」と挑戦してみました。
 準備した魚は、グルクン、カワハギ、タマンの三匹。グリルで塩焼きにしていざ食べてみると、グルクンは意外と肉厚なのですが、やはり小骨が多すぎます。カワハギはパサパサで食べられたものではありません。タマンは、意外に淡白です。どれも脂ののりが少ないので、焼けば焼く程パサパサになるという印象。やっぱり沖縄の魚はマース煮が一番だと実感しました。
 焼き魚を上手に食べる練習は、脂ののった本土の魚でした方がよさそうです。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2017. 7-8掲載)



2018年01月28日 15:15
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嗅覚に性差はある?

 先日、テレビを視ていたら「男性と女性でどっちがニオイに敏感?」という内容のバラエティー番組がありました。まずは街中で実験です。コップ1杯の水にコーヒーを1滴入れたものと、水だけのものを嗅ぎ分けます。結果は、男性の正解率は48%(2つに1つは正解ですから嗅がなくても50%の正解率のはずですが・・・)。それに対して、女性はなんと80%の正解率でした。やはり女性は凄い!
 生物学的に、女性はこの男性が自分にあう人であるかを本能的に判断する方法のひとつとして、嗅覚が発達しているのではないかといわれています。奥さんが、ご主人のワイシャツに付いた香水のニオイに気がつき、浮気がばれて修羅場となるという話をよく聞きます。(想像するだけで本当に怖い話ですが・・・)。
 医学的にも「女性の方が男性よりも嗅覚が鋭い」という報告は以前からあります。その理由についてはこれまで明らかにされていませんでしたが、最新の研究によると、どうやら男女の脳の違いにあるようです。ニオイの情報を最初に処理する脳の領域「嗅球」の細胞の絶対数が、女性は男性より43%も多いことが分かっており、神経細胞に限ってみても、女性の方が50%も多かったとの報告があります。女性は生まれつき男性よりも嗅覚に優れていると言えそうです。
 一方、嗅覚は20才をピークに年齢とともに衰えていきます。すると、最も嗅覚が敏感なのは若い女性ということになります。ちまたでは、お年頃の娘さんに「お父さんクサイ!」といわれる父親が増えているそうです。その理由は、お父さんの加齢臭以外に、娘さんの嗅覚の鋭さがあるのかも知れませんね。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2017. 5-6掲載)


2017年12月20日 20:15
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