嗅覚に性差はある?

matayoshi

2017年12月20日 20:15

 先日、テレビを視ていたら「男性と女性でどっちがニオイに敏感?」という内容のバラエティー番組がありました。まずは街中で実験です。コップ1杯の水にコーヒーを1滴入れたものと、水だけのものを嗅ぎ分けます。結果は、男性の正解率は48%(2つに1つは正解ですから嗅がなくても50%の正解率のはずですが・・・)。それに対して、女性はなんと80%の正解率でした。やはり女性は凄い!
 生物学的に、女性はこの男性が自分にあう人であるかを本能的に判断する方法のひとつとして、嗅覚が発達しているのではないかといわれています。奥さんが、ご主人のワイシャツに付いた香水のニオイに気がつき、浮気がばれて修羅場となるという話をよく聞きます。(想像するだけで本当に怖い話ですが・・・)。
 医学的にも「女性の方が男性よりも嗅覚が鋭い」という報告は以前からあります。その理由についてはこれまで明らかにされていませんでしたが、最新の研究によると、どうやら男女の脳の違いにあるようです。ニオイの情報を最初に処理する脳の領域「嗅球」の細胞の絶対数が、女性は男性より43%も多いことが分かっており、神経細胞に限ってみても、女性の方が50%も多かったとの報告があります。女性は生まれつき男性よりも嗅覚に優れていると言えそうです。
 一方、嗅覚は20才をピークに年齢とともに衰えていきます。すると、最も嗅覚が敏感なのは若い女性ということになります。ちまたでは、お年頃の娘さんに「お父さんクサイ!」といわれる父親が増えているそうです。その理由は、お父さんの加齢臭以外に、娘さんの嗅覚の鋭さがあるのかも知れませんね。

(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2017. 5-6掲載)