
聴診器の起源
内科の診察の時、医師は聴診器を患者さんの胸や背中にあてて耳を傾けます。この聴診器を世界で初めて考案したのは、19世紀のフランスのラエネック医師です。
ラエネックは1816年、心臓病を患っているうら若い女性の診察をしていて、はたと困りました。当時、医師は患者の胸に直接耳をあてて心臓の鼓動を聴いたのですが、ラエネックはどうしても彼女の豊かな胸に自分の耳をつけることに抵抗があったのです。
ラエネックは、どうしたものかと考えながら、いったん外へ出て散歩しているうち、ルーブルの中庭に入り込みました。そこでは子供たちが、彼も子どもの頃によくやった遊びをしていました。ひとりが長い木の棒の端に耳をあて、もうひとりが反対側の端をピンで引っ掻いて、暗号を伝えるとうい遊びです。
「これだ!」ひらめいたラエネックはすぐさま病院に戻り、紙を丸めて筒状にすると、片方の端を女性患者の胸に、もう一方の端に自分の耳をあてました。すると、直接胸に耳をあてるよりも心臓の音がよく聞こえたのです。これが聴診器の原型となりました。その後、正確な聴診が行えるように試行錯誤を繰り返し、木製の筒状の棒のような形をした世界初の聴診器を発明したのです。
その後、彼は聴診による診察診断方法を提案し、当時は不治の病とされていた結核の研究を始めます。しかし、皮肉なもので彼は自分で発明した聴診器で自身が重い肺結核に冒されていることを知り、45歳でこの世を去ったのです。
女性への診察の配慮から生まれた聴診器。ラエネックの功績がなければ、聴診器はこの世に存在しなかった・・・というのは言い過ぎかも知れませんが、その登場はもっと遅れていたでしょう。
(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2018. 9-10 掲載)

ラエネックは1816年、心臓病を患っているうら若い女性の診察をしていて、はたと困りました。当時、医師は患者の胸に直接耳をあてて心臓の鼓動を聴いたのですが、ラエネックはどうしても彼女の豊かな胸に自分の耳をつけることに抵抗があったのです。
ラエネックは、どうしたものかと考えながら、いったん外へ出て散歩しているうち、ルーブルの中庭に入り込みました。そこでは子供たちが、彼も子どもの頃によくやった遊びをしていました。ひとりが長い木の棒の端に耳をあて、もうひとりが反対側の端をピンで引っ掻いて、暗号を伝えるとうい遊びです。
「これだ!」ひらめいたラエネックはすぐさま病院に戻り、紙を丸めて筒状にすると、片方の端を女性患者の胸に、もう一方の端に自分の耳をあてました。すると、直接胸に耳をあてるよりも心臓の音がよく聞こえたのです。これが聴診器の原型となりました。その後、正確な聴診が行えるように試行錯誤を繰り返し、木製の筒状の棒のような形をした世界初の聴診器を発明したのです。
その後、彼は聴診による診察診断方法を提案し、当時は不治の病とされていた結核の研究を始めます。しかし、皮肉なもので彼は自分で発明した聴診器で自身が重い肺結核に冒されていることを知り、45歳でこの世を去ったのです。
女性への診察の配慮から生まれた聴診器。ラエネックの功績がなければ、聴診器はこの世に存在しなかった・・・というのは言い過ぎかも知れませんが、その登場はもっと遅れていたでしょう。
(琉球新報 うない「Dr又吉のユンタク半分医者半分」 2018. 9-10 掲載)

2018年09月15日 20:10
Posted by matayoshi
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